2019年2月期(第29期)決算説明資料
今回取り上げるのは、2019年4月15日に開示された福岡リート投資法人の第29期(2019年2月期)決算説明資料です。
同投資法人は、九州地域(沖縄県、山口県を含む)を主要投資対象とする地域特化型J-REITにて、スポンサーは福岡地所を中心に、九州電力、福岡銀行、JR九州、西日本鉄道等九州の有力企業で構成されています。
用途別のポートフォリオは、商業(60%)を中心に、オフィス(27%)、住居、ホテル、物流と広範囲にわたる総合型の特性を保有しています。
投資方針として、
【投資エリア】福岡都市圏(60~90%)を中心に、沖縄県・山口県を含むその他九州地域(10~30%)、その他地域(0~10%)
【投資タイプ】商業(40~70%)、オフィス(20~50%)、その他(0~30%)(変更後の投資比率を記載)
1.投資タイプ別の投資方針変更
・商業施設への投資比率の上限を80%から70%に、下限を60%から40%に変更
・オフィスビルへの投資比率の上限を40%から50%に変更
・その他への投資比率の上限を20%から30%に変更
今回の投資比率変更については以下の理由が考えられます。
①ここ7年間の資産増加割合は、商業が27%に対して、オフィス21%、その他(物流、住居・ホテル)52%と、ポートフォリオにおける商業施設の保有割合が落ちていること。
➁メインスポンサーである福岡地所グループの開発計画では、2019年度以降オフィス、ホテル、物流物件の竣工が予定されており、特に、2021年9月竣工予定の(仮称)天神ビジネスセンターは延床面積18千坪の大型ビルであり、パイプライン案件の受け皿としての対応。
③福岡ビジネス地区のオフィスビル需給について空室率に着目してみると、東京都心5区にはおよばないものの、名古屋・大阪を大きく凌駕しており、引続き空室率の低下と平均募集賃料の増加が見込まれ、商業物件に比してオフィス投資のニーズは高いこと。
2.分配金の成長を支える外部成長と内部成長
【外部成長】
2018年12月ビジネスホテルにカテゴライズされる『ティサージホテル那覇』を28.3億円で取得。竣工後1年以内の築浅物件であり、ビジネスエリアに位置するも、18㎡以上のツイン・ダブルルームを主体としているため、レジャー客を取り込むことも意図している。
近年沖縄県の外国人入域観光客数の成長は目覚ましく、5年で15%程度から30%へと増加している。また、外国人延べ宿泊者数は、年間525万人と5年前の2倍以上に膨らんでいる。特に、台北から那覇までは約600キロメートルの距離にあることから、外国人入国者割合の36%は台湾からの観光客で、以下韓国(31%)、中国(15%)、香港(11%)と続く。
これらをうけて、那覇空港では2020年3月末に向け滑走路増設事業に着手しており、完成後には発着回数は1.9万回増えて、年間18.5万回に達する。
本物件は、オペレーターとの間で、変動賃料を組み込んだ賃料体系を採用しており、沖縄県の高いホテルマーケットの成長から生まれるアップサイドの内部成長も期待される。
【内部成長】
①キャナルシティ博多におけるホテル・映画の売上が好調にて、歩合賃料が増加。
➁25期(2017年2月期)以降継続的な賃料改定が内部成長を支えながら、福岡ビジネスエリアでは、21カ月連続して平均賃料は増加しており、30期以降も賃料上昇圧力は強いと考えられている。大口テナントとの再契約による賃料増額が確定しており、外部成長を待たずして、内部成長だけで1口当たり分配金3,700円を目指す状況にある。
3.含み益の増加
29期の含み益は、前期比23.4億円増加して318億円となった。含み益の約半分はオフィス物件であり、好調なオフィス市況を示している。29期では含みを減らした物件が3件・2.5億円(商業1件、その他2件)あるが、いずれも個別物件として含み益は維持している。
主要指標(決算説明資料より抜粋)
1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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