2018年10月期(第11期)決算説明資料
投資法人が短信発表後に出す決算説明資料。
投資法人の今期の運用成績と来期以降の見通しを示す貴重な資料です。
その決算説明資料の中から、目を引いたり気になった点を独断と偏見で抜き出してみたいと思います。
今回取り上げるのは、2018年12月18日に開示された星野リゾート・リート投資法人の第11期(2018年10月期)決算説明資料です。
星野リゾート・リート投資法人は、その名称が示すように、総合リゾート大手として有名な星野リゾートグループをスポンサーとするホテル特化型のJ-REITで、現状の資産規模(取得価格ベース)は11期末時点で1,467億円、将来的な資産規模として2,000億円を目標に掲げています。
そんな星野リゾート・リート投資法人の第11期決算説明資料で目を引いたのが、LTV戦略について語った部分です。
他の多くのJ-REITではLTVは40~45%のレンジ内にあり、現状から大きくは動かさない方針を謳っています。
そして星野リゾート・リート投資法人も、これまでLTV上限を35%と他のJ-REITよりも低い位置に設定して保守的な運営を行ってきました。
ところが今回、第11期決算説明資料で星野リゾート・投資法人は外部成長促進を目的としてLTV上限を40%まで引き上げる方針を示したのです。
無論、LTV40%は現在の資金調達環境においてまだ十分に保守的な水準ではあるのですが、このLTV上限引上げにより、星野リゾート・リート投資法人は180億円超の借入れによる資金調達余力を手にしたことになります。
星野リゾート・リート投資法人の保有物件を見ると、取得価額の単純平均が27億円弱、最高額は178億円弱となっており、今回のLTV上限引上げで生じた資金調達余力は次期の外部成長を賄うには十分な額だと言えます。
J-REITの資金調達としては、借入以外に増資という手段もありますが、投資口価格が下落基調の時期に増資をしてしまうと、増資価格が1口当たり出資額を下回るディスカウント増資となって1口当たり分配金が減少し、既存投資家からの信頼や期待を毀損してしまう危険性が高くなります。
その意味で、今回の星野リゾート・リート投資法人のLTV水準引上げは、ディスカウント増資の危険性を避けながら外部成長のための資金調達余力を拡大させる妙手だと言えるでしょう。
この余力を上手く使って、次期の外部成長、さらには投資口価格を上昇基調に乗せることができるか、星野リゾート・リート投資法人の今後に注目です。
1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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