12月3日週のマーケット概観
(写真/iStock)
12月3日週だが、国内では7日に10月家計調査と10月景気動向指数(速報)の発表があった。
まず10月家計調査では実質消費支出(二人以上世帯)が前年比で-0.3%と市場コンセンサスの+1.4%を下回る結果となった。
自然災害の影響剥落もあって前月比では+1.8%となったものの、消費の足踏み感は依然強いと言えそうだ。
次に10月景気動向指数(速報)は、前月の自然災害の影響剥落が寄与して一致指数が2ヵ月ぶりに上昇し、104.5(前月比+2.9ポイント)となった。
ただし、発表者である内閣府は基調判断として「足踏みを示している」と前月同様の見方を維持しており、こちらも景気の現状について慎重な判断となった。
海外に目を転じると、5日に予定されていた米議会におけるパウエルFRB議長の証言は、11月30日に亡くなったジョージ・H・W・ブッシュ元大統領の追悼のために延期となった。
また6日にウィーンで開催されたOPEC総会はさしたる合意を成立させられなかったものの、翌7日に行われたOPECプラス会合(ロシア等のOPEC非加盟国も参加)で「来年1月から6月までOPEC加盟国は日量80万バレル、非加盟国は日量40万バレル減産する(4月に減産状況の確認、調整を行う会合を実施)」ことで合意が成立した。
この減産決定を市場は素直に好感し、原油価格は50ドル台から52ドル台まで反発している。
安いガソリン代で国民にアピールしたい米トランプ大統領は潤沢な原油供給を望んでいるとされるが、サウジアラビアはロシアと歩調を合わせて原油供給を絞る道を選んだ。
今後もしサウジが従来の親米外交から軸足を動かしてロシアや中国との協力関係も重視するようになっていくと、その影響は原油価格のみならず、中東地域の勢力均衡にも大きく及んでこよう。
閑話休題、来週は、10日の7-9月期GDP2次速報、11月景気ウォッチャー調査、そして12日の機械受注統計、14日の12月日銀短観の結果が注目を浴びそうである。
12月3日週は、株式市場とJ-REIT市場とでやや明暗が分かれた。
TOPIXを見ると、5営業日のうち前営業日比でプラスとなったのは2営業日に留まり、方向性としても下落基調の動きとなった。
米国債市場で2年債金利が5年債金利を上回る逆イールド現象(通常は、長期債の利率の方が短期債の利率より高い)が生じたことで景気後退を警戒した米国株売りが強まり、それが日本株市場にも波及した形である。
逆イールド現象を景気後退の有効な予兆と見ることについては懐疑的な見方も強いものの、上記のように日本経済では足踏み感が強く、米中貿易戦争の帰趨も未だ見通し難い中で、日本株市場は格好の売り材料が提供されたと判断したようだ。
対してJ-REIT市場では、東証J-REIT指数も前営業日比でプラスとなったのは2営業日に留まったものの、下げ幅も小さく、7日は3日を上回る終値で取引を終えた(12月3日週のヒストリカル・ボラティリティを見ても、TOPIXが10月22日週以来の高水準となる約22%を記録したのに対し、東証J-REIT指数は約3.5%に留まっている)。
思惑や先行きへの不安で株式市場が大きく揺れているのとは対照的に、J-REITのディフェンシブな性質が目立つ展開が継続している。
12月3日週のJ-REIT市場で活発に取引されたのは以下の銘柄であった(出来高の多い順に上位10銘柄を提示)。上位10銘柄の出来高合計は597,602口で先週の810,620口より27%超の減少となった。
コード | 名称 | 出来高(口) | 分配金利回り(12月7日時点) | 投資対象 |
3298 | インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人 | 143,230 | 5.18% | オフィス |
8963 | インヴィンシブル投資法人 | 88,443 | 7.11% | 総合 |
8953 | 日本リテールファンド投資法人 | 63,045 | 3.96% | 商業 |
8960 | ユナイテッド・アーバン投資法人 | 53,468 | 4.00% | 総合 |
8985 | ジャパン・ホテル・リート投資法人 | 49,597 | 4.76% | ホテル |
3462 | 野村不動産マスターファンド投資法人 | 49,047 | 4.15% | 総合 |
8977 | 阪急阪神リート投資法人 | 42,514 | 4.29% | 総合 |
3309 | 積水ハウス・リート投資法人 | 41,494 | 4.35% | 総合 |
3281 | GLP投資法人 | 36,255 | 4.56% | 物流 |
8954 | オリックス不動産投資法人 | 30,509 | 3.70% | 総合 |
出来高全体が大きく伸びた先週の反動もあり、今週の出来高は減少に転じた。
各銘柄を見ていくと、出来高1位のインベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人に比較して2位以下の銘柄での出来高減少が目立ち、2位のインヴィンシブル投資法人はここ2カ月で初の10万口割れとなってしまった。
一方で阪急阪神リート投資法人は出来高が先週比で2倍近く増加して7位にランクインした。
同投資法人は12月3日を払込期日、4日を受渡期日とする公募増資を実施しており、その影響で出来高が膨らんだものとみられる。
なお12月3日週においても日銀のJ-REIT買入は実施されなかった。
1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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