玉川 陽介 (著)
これまで本コーナーで取り上げてきた不動産投資本は法律や取引慣行、或いは不動産の地理的特性や市況に潜む注意点、落とし穴にフォーカスする内容でした。今回取り上げる『不動産投資「収益計算」のすべて』は、それらとはまた違い、徹底して不動産を数字、収益性という点から捉えた作品です。
そんな本書は大きく分けて2部構成となっています。
前半部では不動産から発生する収益と維持・管理コスト、借入による金利負担、発生する税金を取り上げてそこからどのように不動産の収益性を判断するかを説明し、後半部を前半部の知識をベースにこれから投資しようとする物件の収益性をシミュレーションして分析する方法のレクチャーに充てるという構成です。
パッと見、色々と複雑な計算が必要そうな内容で気おくれを感じてしまうかもしれませんが、心配は御無用です。我々には文明の利器エクセルがあります。
本書は、個々の計算の処理にあたってはエクセルをフルに活用するというスタンスなので、エクセルの使用経験さえあれば、数学に苦手意識のある人でも問題なく読み進めていけます。
さらに、本書内で実例として挙げられている収益計算や分析用のエクセル・ファイルがweb上からダウンロード可能なため、分かりにくい箇所も具体的にエクセルを動かしながら理解を深められるのも嬉しい所(ダウンロードには本書内記載のID・パスワードが必要)。
加えて、本書で説明されている不動産の収益性を判断するための指標、分析方法というのは、実はJ-REIT投資をする上でも非常に役立つ知識でもあります。
「投資法人」という組織を仲介するか否かという違いはありますが、結局のところ、J-REITも現物投資も不動産を取得・運営してそこから収益を引き出す点に変わりはありません。重要なのは不動産を収益力に見合った妥当な価格で取得することです。そして不動産の価格が収益力から判断して割高なのか割安なのかを判断するには、多くの取引情報に触れ、相場観を鍛える必要があります。
しかし、残念ながら個人が個々の不動産取引情報を集めることは容易ではありません。
そこで注目したいのがJ-REITのリリース情報。開示制度の充実したJ-REITからは日々多くの物件取得情報が発表されています。そこに記載された物件情報を本書で得た知識・ノウハウで把握・分析し相場観を鍛えた上で、投資というチャンスとリスクが隣り合わせの大海に漕ぎ出すのは如何でしょうか。
1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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