2017年11月21日

ケネディクス商業リート投資法人、自己投資口取得に係る資産運用会社の規定を整備

11月13日週のニュース概観

(写真/PIXTA)

概況

11月14日、ケネディクス商業リート投資法人の資産運用会社を務めるケネディクス不動産投資顧問株式会社(以下、ケネディクス不動産投資顧問)が、自己投資口取得に係る商業リート部門の規定を整備すると発表した。
その内容は、「新投資口の発行は、LTVや投資物件の取得時期等を勘案した上で、投資口の希薄化に配慮しつつ実行します。」という従来の規定の後に、「また、自己の投資口の取得については、投資口価格の推移やマーケット環境の分析等を勘案した上で、総合的な判断に基づき実行します。」という一文を追加するもの。
既にケネディクス商業リート投資法人は投資法人規約の中で自己投資口の取得に係る項目を置いており、それに平仄を合わせた今回の資産運用会社の規定整備によって実際に自己投資口を取得するためのルール上の準備が整ったことになる。
ケネディクス不動産投資顧問は今回の規定整備について、自己投資口取得について具体的な決定を意味するものではないとしているが、翌日15日に発表されたケネディクス商業リート投資法人の決算説明資料では、物件「ケーズデンキ中川富田店(底地)」(簿価約9億円、鑑定評価額約9.9億円)の売却で発生した資金の活用策の一つとして自己投資口取得による投資主還元を挙げている。
商業施設特化型J-REITでは既に資産規模最大手の日本リテールファンド投資法人が「フリーキャッシュフローが潤沢な一方で有望な投資機会が減少している」ことを理由に自己投資口取得に踏み切っている。もし今後ケネディクス商業リート投資法人も自己投資口取得に踏み切れば、改めて商業施設取得環境の厳しさを印象付けることとなりそうだ。

11月15日、グローバル・ワン不動産投資法人が自己投資口を取得すると発表した。
取得期間は11月16日から2018年2月28日まで。期間内に取得自己投資口数が3,000口(発行済投資口総数の1.34%)に到達した場合、または取得金額が10億円に到達した場合はその時点で取得完了となる。取得後の自己投資口は2018年3月期中に消却される予定。
J-REITとしては4例目の自己投資口取得を実施するグローバル・ワン不動産投資法人だが、その理由として資本効率の向上と投資主還元を挙げている。
物件取得競争の激化が指摘されて久しいが、この状況が続けば続くほど困難な外部成長ではなく自己投資口取得で投資家の信認を繋ぎとめようとする動きも活発化していくとみられる。

11月16日、グループで不動産開発事業等を展開する株式会社フージャースホールディングス(以下、フージャースHD)が2020年3月期を目途としてヘルスケアREITの上場を目指すと発表した。
同日公表された決算説明資料によると、当該ヘルスケアREITには、同グループが開発したCCRC(高齢者が健康時から、介護を必要とする状態になり、終身するまで一貫して居住可能な生活共同体)事業物件やスポーツジムを中心に、病院や医院を組み込むことを想定している。
現在3銘柄が存在するヘルスケア施設特化型REITだが、そのいずれもが外部成長に苦戦しており、ジャパン・シニアリビング投資法人はケネディクス・レジデンシャル投資法人との合併を決定した。それだけに、フージャースHDがどのようなポートフォリオを持つヘルスケアREITを組成し、上場させるのか、そしてその先の成長軌道に乗せていけるか注目される。

物件動向

11月13日週の物件動向だが、特に目立つものはなかった。

決算発表動画
物件取得価格ランキング
1 新宿三井ビルディング 1,700億円
2 飯田橋グラン・ブルーム 1,389億円
3 六本木ヒルズ森タワー 1,154億円
4 汐留ビルディング 1,069億円
5 東京汐留ビルディング 825億円
株価値上り率ランキング
1 野村不動産マスター +0.70%
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