7月10日週のニュース概観
(写真/PIXTA)
7月10日週は、不動産各社による東南アジアでの事業発表が目立つ一週間であった。
各社の発表を事業展開先別にみていきたいと思う。
1.フィリピン
7月10日、野村不動産株式会社と株式会社三越伊勢丹ホールディングスが、現地の大手不動産会社Federal Land Incorporatedと三社共同で進めている開発計画の概要が固まったと発表した。
発表によると三社は、フィリピン首都マニラのボニファシオ・グローバル・シティ地区で住居と商業施設からなる複合施設を開発するという。
敷地約1.5万㎡に建設される当該複合施設は、地上51階建てを含む全4棟からなり、延床面積は住居部分で約11.2万㎡、商業施設部分で約3万㎡、総戸数は約1,400戸という規模。2018年内に着工し、2020年の商業施設部分開業、2025年の住居部分竣工を見込んでいる。
かつてはASEAN加盟国の中でも経済成長の立ち遅れが目立っていたフィリピンだが、2012年以降は6%前後の経済成長が続き、失業率も2012年の7%から2016年の5.7%まで改善している。ミンダナオ島等の南部地域ではイスラム過激派の活動も続いているが、マニラのあるルソン島までは目立った波及もなく、引き続き好調な経済環境とそれを背景とした不動産需要の高まりが期待されている。
2.インドネシア
7月10日、大和ハウス工業株式会社が株式会社海外交通・都市開発事業支援機構が現地企業TRIVOと提携してジャカルタ市南東部での開発事業「サウスイーストキャピタルプロジェクト(仮称)」に参画すると発表した。
当該計画は、ジャカルタ市東南部の敷地約12haに集合住宅(全12棟 総戸数約5,000戸)と商業施設等を開発するというもので、総延床面積は約64万㎡に及ぶという。竣工は2024年度内を予定。
7月13日、東急不動産株式会社がジャカルタ市郊外で三菱商事株式会社と共に開発を進めている分譲マンション「BRANZ BSD 藍」について上棟式を行ったと発表した。
2015年9月に着工した当該マンション開発計画は、約1.6万㎡の敷地に3棟、総戸数1,256戸の分譲マンションを建設するというもので、2018年内の竣工を予定している。
なお2億を超える人口を有し、人口ベースでは世界最大のイスラム教国としても知られるインドネシアは、5%から6%の経済成長が安定的に続いており、ジョコウィ政権は経済成長の一層の加速を目指して規制改革やインフラ投資に力を入れている。
3.シンガポール
7月13日、三菱地所株式会社が、現地企業CapitaLand Limited及び同社グループが運営するシンガポールREITのCapitaLand Commercial Trustと提携してシンガポール中心部での大型再開発事業に参画すると発表した。
発表によると、当該再開発計画は敷地約6,100㎡に地上51階、延床面積約9.3万㎡の複合施設を建設するというもの。総事業費は約1,450億円に及び、2021年上半期の竣工を予定している。
1人当たり名目GDPでは既に日本を上回り、先進国と言っても差し支えない水準のシンガポールだが(2015年時点でシンガポールは52,888ドル、日本は32,486ドル)、それだけに周辺国と比べて経済成長の伸び代も小さく、2016年時点の経済成長率は2%に留まっている。今後、同国政府が進めているR&D拠点の集積やインフラ・不動産対外投資の活発化がどこまで大きい実を結ぶことになるか、注目される。
※各国の経済情報は、外務省及び日本貿易振興機構の公表値による。
7月10日週の物件動向だが、主なものとして以下の案件が発表された。
1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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