5月22日週のニュース概観
(写真/PIXTA)
5月26日、国土交通省がHP上で平成29年版土地白書を公表した。
当該白書は「平成28年度土地に関する動向」と「平成29年度土地に関する基本的施策」の2つの内容から成り立っているが、不動産投資市場やREITに関して注目されるのは以下の点である。
【平成28年度土地に関する動向】
・日本全体としての地価動向は、金融緩和や堅調な経済情勢に支えられて好調。
・医療福祉施設整備を目的とした地方公共団体による土地貸出件数が増加傾向にある。
・不動産証券化市場ではREITが証券化物件の買い手、私募ファンドが売り手という構図が維持されている。
・不動産証券化の対象として前年比での増加が目立つのは倉庫、ホテル。
・日本不動産市場に対し、海外投資家は市場規模、流動性、取引制度の安定性には高い評価を示した。
・一方で日本不動産市場の成長性、情報の充実度、情報入手の容易性について海外投資家の評価は低いものとなった。
【平成29年度土地に関する基本的施策】
・「不動産取引市場の整備等」で不動産特定事業の活性化を掲げた。
・「不動産投資市場の整備」の中で、ヘルスケアREITへの支援策が示された。
(示された支援策)
a.REITが不動産を取得する場合の不動産取得税の軽減対象に、ヘルスケア施設やその敷地を追加。
b.ヘルスケア関連事業者を対象に、関連省庁と連携したヘルスケアREITセミナーを実施していく。
不動産投資市場拡大の牽引役として国土交通省が従来より注目してきた物流施設、ホテル等宿泊施設、ヘルスケア施設のうち、物流施設とホテル等宿泊施設は期待通りの働きを示しているものの、ヘルスケア施設に関しては依然として何らかの政策的支援が必要な状態であることが改めて浮き彫りになったと言えよう。
海外投資家の日本不動産市場に対する評価で結果が芳しくなかった項目の改善と合わせ、今後の国土交通省のテコ入れが期待される。
また同じ26日、明治期の貴重な赤レンガ様式の建築物として重要文化財に指定されていた旧奈良監獄について、法務省が保存・活用事業の優先交渉権者が決定したと発表した。
優先交渉権に決定したのは、清水建設株式会社を中心とした7社で構成されるコンソーシアム「ソラーレグループ」。ソラーレグループはホテルを中心に日本の行刑・矯正の歴史も学び体感できる「体験型複合施設」として旧奈良監獄を活用していく計画を示している。
当該案件は、施設の所有権自体は法務省が握り、民間事業者が施設運営権を取得して事業を展開するPFI案件である。社会保障費の増大等で政府予算の自由度が年々低減していく中、政府が保有する施設・不動産の活用を民間事業者に託すPFI案件は今後も増加していきそうな気配である。
5月22日週の物件動向だが、発表のあった2案件はいずれも近畿圏での物流施設開発であった。一部に供給増大による空室率増大や賃料減を警戒する声も上がっている物流施設市場だが、供給サイドの動きは依然として活発のようだ。
1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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