2016年3月23日 国土交通省開催
(写真/PIXTA)
日本不動産市場の発展と効率化に向けた方策を議論・検討する場として回を重ねてきた「不動産投資市場政策懇談会」ですが、4回目となる今回は今までの議論を踏まえた目標の発表や今後の取組みへの反映等が主な内容でした。
第4回不動産投資市場政策懇談会議題
(1)不動産投資市場の成長戦略(案)について
今までの懇談会での議論内容を踏まえた今後の政策目標等を発表。
(2)その他
不動産市場の活性化・発展に向けた国土交通省の最近の取組を紹介。
ここでは、事務局より第1回~第3回の不動産投資市場政策懇談会で行われた議論をまとめた資料「不動産投資市場の成長戦略~2020年に向けた成長目標と具体的取組~(案)」に基づき、「2020年頃にリート等の資産規模を約30兆円に倍増」という成長目標の発表とその実現に向けた方策や検討課題の説明がありました。
まず成長目標として掲げられた「2020年頃にリート等の資産規模を約30兆円に倍増」ですが、一般社団法人不動産証券化協会が既に、中期事業計画(2015年度~2017年度)の中で「2020年のオリンピック・パラリンピックを好機ととらえ、Jリートおよび私募リート等の資産規模30兆円を目指す」と謳っており、市場の成長加速に向けた官民の方向性一致を象徴するものと言えるでしょう。
一見するとあと3年で倍増という野心的な目標に見えますが、事務局側は日本のリート市場は対名目GDP比でまだ伸び代があること(2014年12月末時点で日本は約2.2%、米国は約6.26%、日本以外の主要リート導入国平均は約3.29%)、そして名目GDP自体についても政府が「2020年頃に600兆円達成」を目指して積極的な働きかけを行っていることから、高い目標ではあるものの実現は可能との認識を示しました。
続いて成長目標実現に向けた検討・取組では以下が注目されます。
a.成長分野(観光、物流、ヘルスケア)に係るリート市場機能強化。
b.リートによる海外不動産取得の円滑化等に関する検討。
c.海外投資家や年金基金等の機関投資家に向けた的確な情報提供。
d.クラウドファンディング等に対応した電子化の推進。
e.地域を活性化する不動産ストックの再生。
aについてはオペレーショナル・アセットとしての面が強い成長分野不動産のリートによる取得を支援するため、物件性能情報の整備・可視化に加えて税制への働きかけも進めていく考えが事務局側より示されました。
bは「検討」とあるようにやや中長期的な課題という位置づけですが、事務局はリートによる海外不動産の取得を「市場の成長と運用資産の多様化に寄与する」ものとして肯定的にとらえており、今後の具体的な支援策の登場が待たれます。
cとdについてはFintechやReal Estate Techといった情報技術の新潮流を積極的に取り込みながら機関投資家や個人投資家の利便性を向上させていく方針が事務局から示されました。リートや不動産市場への好影響は勿論、それらに関連した新市場、新産業の創出への追い風としても評価できるのではないでしょうか。
eでは、事務局は、公的不動産やインフラ資産への民間のノウハウ・資金導入を促進するために地方公共団体からの相談受付体制の拡充、専門家の派遣による案件実現への支援を実施する考えを明らかにしました。また、再生エネルギーやコンセッション以外のインフラ案件の資金調達手段としてインフラファンドやリートを活用するための環境整備を進めていくという方針も同時に表明されました。
こうした事務局側の発表に対し、民間委員からは「デフレ脱却の次の成長戦略として評価できる」といった賛意が表明されるとともに「今回の懇談会を主催した土地・建設産業局のみならず、ALL国土交通省、さらには政府一丸となって目標の実現に取り組んでほしい」、「アベノミクスでお金が不動産に流れるようになった。次は金融や英語に精通した高度人材が不動産業界に流入するように道筋を整備してほしい」といった注文も上がりました。
1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
---|---|---|
2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
* 当サイトはJ-REIT(不動産投資信託)の情報提供を目的としており、投資勧誘を目的としておりません。 * 当サイトの情報には万全を期しておりますがその内容を保証するものではなくまた予告なしに内容が変わる(変更・削除)することがあります。 * 当サイトの情報については、利用者の責任の下に行うこととし、当社はこれに係わる一切の責任を負うものではありません。 * 当サイトに記載されている情報の著作権は当社に帰属します。当該情報の無断での使用(転用・複製等)を禁じます。