2016年1月29日 国土交通省開催
年明け早々から外国ではサウジ-イラン対立の激化、中国株式市場の急落、北朝鮮の核(水爆)実験等様々なニュースがありました。日本国内では日銀の追加緩和をにらんだ思惑で不安定な動きの続く株式そしてJ-REIT市場ですが、このような時こそ日々の市場動向に一喜一憂するのではなく、一歩引いた大きな枠組みで投資戦略を考えてみることが大切なのではないでしょうか。
そこで、J-REIT市場やその基盤である実物不動産市場について国や有識者の方々がどんな意見、展望を抱いているのかを知るべく国土交通省が開催している「不動産投資市場政策懇談会」(第3回 2016年1月29日実施)を傍聴してきました。
そもそも「不動産投資市場政策懇談会」とは、「不動産投資市場の活性化を通じ、国民生活の向上と日本経済の発展を図るため、不動産投資市場の持続的な成長について取り組むべき課題や施策等について検討を行うことを目的として国土交通省が設置した会議」です。メンバーは民間の実務者や有識者で構成される委員(委員長 田村幸太郎氏 牛島総合法律事務所 弁護士)と国土交通省職員からなり(オブザーバーとして金融庁職員を派遣)、国土交通省側が提示したテーマに沿って委員が問題提起や議論を行うという形で進められます(以前、弊社のセミナーで講演頂いた早稲田大学大学院ファイナンス研究科の川口教授も委員を務められています)。
「不動産投資市場政策懇談会」、今回のテーマは以下の3つでした。
1.成長分野における不動産投資市場の拡大と国際競争力の強化について
2.資金供給の担い手の多様化等について
3.不動産市場の透明性向上等について
では、各テーマで行われた議論をご紹介していきたいと思います。
観光、物流、ヘルスケア関連不動産や環境性能・耐震性に優れた不動産、公的不動産(PRE)や企業不動産(CRE)を成長分野として位置付け、そこに対する投資を如何に盛り上げ、日本不動産市場の国際競争力強化に繋げていくか議論が行われました。
国土交通省側は概要説明の際に上記のような成長分野に投資を行うREITに対して支援を行っていく考えを示しました。これに対して委員の側からは、「REIT支援策の一つとして、物件取得の際に発生する鑑定評価等のコスト軽減があってもいいのではないか」、「現在REITにとって魅力的な投資物件が見つけにくい状況にあるが、物件の用途変更に係る規制を緩和して物件の多機能化・高機能化が進めやすくなればREITの物件取得も活発化するのではないか」、「PRE活用はREITを通じて進めるのがよいと思われるが、その利点である開示の充実、透明性の高さについて国はもっと積極的に訴えるべきではないか」といった意見が出されました。
また国土交通省側から不動産市場の国際競争力強化について、官民連携による情報発信の強化で海外からの投資流入を拡大させる等、REITの海外不動産取得の活発化に向けた改革を進める考えが示されました。これに対して委員の側からは、「外国人観光客の活発な流入に隠れているが、ビジネス目的での日本入国や外資企業の進出は伸びていない。オフィスや高級マンションの長期的・安定的需要を振興するには、外国からのビジネス需要を掘り起こしていくことが大切ではないか」という声があがりました。
1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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